おはようございます、新冠町 龍雲寺 東 尚弘です。
今年五月、私は家庭菜園を始めました。
大本山総持寺で修行から帰ってきて半年が過ぎ、新しいことに挑戦してみたいなぁと考えていた時、祖父母が野菜を育てていたのを思い出し、やってみようと考えたからです。
知識はありませんでしたが、インターネットでやり方を調べたり、野菜を育てている檀家さんに教わりながら準備を進めジャガイモ、ナス、パプリカを植えました。
自宅から車で三十分ほどの所で、育てていたので毎日通うことができず、たまに様子をみに行っては雑草を抜き、水をあげたり、害虫を取り払ったりなど自分が思っていた以上に手間がかかりました。また今年は猛暑が続き雨が降らない日も多かったので育つか心配してましたが順調に育ちだんだんと畑に通うのが楽しくなってきました。
しかし収穫直前シカに荒らされてしまい、獲れたのはナスが数本と荒らされずに残った少量のジャガイモのみでした。
初めての収穫は自分が考えていたような結果にはなりませんでしたが収穫した野菜を調理して食べた時はこれまでの苦労も忘れ、美味しくいただきました。
私たち曹洞宗では食事の前に五観の偶という五つのお唱えをします。その最初の一文は「一つには功の多少を計り、彼の来処を量る」といいます。
目の前の食事が出来上がるまでには食事を作る人、食材を仕入れ、提供する人、その食材を育てる人、自然の恩恵、たくさんの人達の手間や苦労があってできている。
あらゆるものに感謝しながら目の前の食事をいただくという意味です。
今回自分自身で野菜を育てたことで改めてこの一文が身に染みました。私がこれまで頂いていた食事はたくさんの人の手間や努力の上に成り立っていること、毎日ご飯を食べられることが当たり前になり、感謝の心を忘れていた気がします。
みなさんがいただく食事もたくさんの人々の努力の上に成り立っています。感謝の気持ちを忘れずに美味しくいただきましょう。
東 尚弘