春分の日
法話
2021/03/20
2021年03月20日放送
本日三月二十日は春分の日です。太陽が真東から真西に進み、今日を境に夜間よりも日中の時間の方が長くなります。また、春のお彼岸と言い、太陽が沈む真西を極楽浄土という考えで、この世からの想いが届くという意味合いもあり、各寺院やご家庭で御先祖供養が行われることと思います。
また、三月二十日は東京都にある上野動物園の開園記念日です。今から百三十九年前の明治十五年に日本で初めてできた動物園だそうです。北海道からはなかなか訪れることはできませんが、ジャイアントパンダで有名ですので日本人なら誰もがご存知の動物園だと思います。大正時代の関東大震災では大きな被害に遭わなかったそうですが、太平洋戦争では、「戦時猛獣処分」と言いまして、動物が逃亡して被害を及ぼすのを未然に防ぐ為、ライオンや象等様々な動物たちが処分されてしまったそうです。戦争は人間だけではなく、沢山の動物や生物が犠牲になっているのです。終戦後、「動物園は平和そのものである」を合言葉に上野動物園の復興ぶりはめざましく、戦後の混乱で疲れ切った多くの人々を動物達が癒してきたそうです。その後、日中両国の友好の証として、中国から日本へ初めてジャイアントパンダがやってきました。その愛くるしい姿はまさに平和の象徴として、現代でも中国からパンダがやってくると、皆さんから大変愛されています。
上野動物園の百四十年近い歴史の中には多くの悲しみと喜びがあるのです。
お彼岸の供養の話に戻りますが、自分たちのご先祖様とともに、人々を癒してくれたり、生活に役立ってくれた多くの生き物達に思いを馳せてみるのもいいかもしれません。
網走市 法龍寺
加藤 芳憲
加藤 芳憲