法話
2020/05/23
2020年05月23日放送
おはようございます、苫前町 晃徳寺 坂川資樹です。
ひとつのことばでけんかして ひとつのことばで仲直り
ひとつのことばでおじぎして ひとつのことばで泣かされた
ひとつのことばはそれぞれに ひとつのこころをもっている
これは仏教詩人 坂村真民さんがことばについての思いを表現されたものです。
日本ではことばのことを古来から「ことの葉」とか「ことだま」と言いますが、ことばには人を動かすほどの大きな力があると言われます。
ことばは、伝達手段としてコミニュケーションの手段として私たちにとって欠くことの出来ないものです。このことばは私たちを喜ばせたり、奮い立たせたり、信頼関係を深めたりしてくれます。でも逆に私たちを悲しませたり、失望させたり、喧嘩のもとになったりもします。
私どもの曹洞宗を開かれた道元禅師様は「人にものを言うときには、心の中で三回繰り返し、このことばが本当に相手のためになるかどうかを考えてことばを口に出しなさい」と言われています。
ひとつのことばによって救われたり、人生の大きな節目を乗り越えることができるのは、かけてもらった心地よいことばや、素晴らしいことばでは無く、心がこもっているかどうかではないでしょうか。さらに道元禅師様は、お母さんが無条件に赤子を思うように慈しみの心を種として発することばを、尊い行いと示されています。
孤独を感じることの多い現代にあって、人と人との絆を確かなものにするためにも、ことばを大事にしなければなりません。
苫前町 晃徳寺
坂川資樹
坂川資樹