座禅の効果
おはようございます、奥尻町 耕養寺 押見敏文です。
私のお寺のお檀家さんの息子さんで札幌で料理店をやっている方がいます。
料理長の彼が毎年八月に家族と里帰りする時に、スタッフの板前さん二人も連れて奥尻島をやってきます。普段長い休みの取れにくい仕事柄、スタッフの慰労も兼ねての里帰りのようです。
昨年、料理長と板前さん二人が座禅をやってみたいとの希望でしたので、お寺で坐り方と呼吸法、数息観を教えて一緒に二炷坐ってみました。大きな座布団の上に丸い坐蒲を置き、その上に腰を下ろして足を組み、背筋を伸ばして骨盤を立て、手を法界定印に結んで、目線を斜め下に落として、ゆっくりと息を吐く。その息を心の目でみつめて吐く息ひとーつ 吸う息ふたーつと数えて、九つ十とやったらまたひとーつと呼吸していくのです。二十分の座禅を二回やって、部屋に移動してお茶を飲みながら感想を聞くと、三人とも「楽しかった」「気持ちがスッキリした」「心が落ち着いた」と、とても気に入ったようでした。
また、来年もやりましょうと約束して別れました。今年は料理長は所用で来られずに、板前さん二人と韓国人の友人Kさんと三人で、同じように二炷坐りました。Kさんの感想も同様に「スッキリした」「心が落ち着いた」と流暢な日本語で答えてくれました。座禅をしたときの気持ちに国境は無いんだなぁ、ひとつなんだなぁと思いました。
ひと月後、家内と札幌のお店にランチをいただきに訪れた際に、「Kさんが帰国後にボクシングの試合で座禅の呼吸をしてからリンクに上がったら冷静に試合運びができて勝ったそうですよ。」と教えてもらいました。座禅の効果が海外のリンクの上でも現れたんだなぁ、と少し嬉しく思い、一人で多くの人に座禅に親しんでもらえるよう工夫しようと気持ちを新たにしたのでした。
押見敏文