ありがどのう
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おはようございます、江差町 正覚院 松村直俊です。
今年の六月十二日〜十八日、私は山形県鶴岡市・酒田市で法話をさせて頂きました。とあるお寺で法話をしていると、一番前に座っている御住職が怖い顔で私を見ています。その日は九十分の法話をさせて頂いたのですが、他の方は頷いたり笑ったりしてくださるのに、その御住職だけは一切反せずに、ずっと怖い顔で私を見ているのです。私は、口には出しませんでしたが、心の中でこう思っていました。
「おっかない顔してんな」と。なんとか法話を終えて、ホッとしていると、その御住職が控え室にやってくるのです。「あっ、これは怒られるな。」と、思っていると、こうおっしゃるんです。
「今日のあなたの話、私の行き方を振り返る良い機会になりました。一生懸命話してくれて、ありがどのう。」と。
あんなに嬉しい言葉を頂いたのは初めてでした。
こうして一週間の法話を終えて六月十八日の夕方に北海道に帰りました。すると、その日の夜、鶴岡市・酒田市を中心とした地震がありました。私は驚き、翌朝、その御住職に電話をしました。すると、「お墓や御位牌は倒れたが、私も家族も檀信徒も大したことはなかった。言い方は不謹慎かもしれないが、あなたがいる時じゃなくて良かった。あなたに不便や迷惑をかけなくて本当によかった。心配してくれてありがどのう。」とおっしゃるのです。大きな地震があり不安なのは御住職なのに、逆に「私は大丈夫ですが、あなたはどうですか?」と、「自分が自分という思いから離れて相手に思いをめぐらせるその姿」に、私は仏教の根本である慈悲ということを教えて頂いたような気がします。
「ありがどのう」と相手を思いやれる私でありたい。それは、今私達が忘れかけている、とても大切なことのように思えてなりません。
松村直俊
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