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「同乗」

法話   2018/12/22
2018年12月22日放送

おはようございます、津別町 禅昌寺 木内洋彰です。
私が大学生の時のお話です。当時にしては奇抜な髪型をしていました。アルバイトをしようにも、その容姿から中々雇っていただけるところが無く、駅からバスに乗って家から離れたところでアルバイトをしておりました。
その帰り道、バス停でバスを待っていましたが、中々来ません。隣にいた男女、おそらくカップルと私の3人で待ちぼうけておりました。すると乗用車がバス停に乗り付け、窓がウィーンと開き、優しそうなおじさんが顔を出しました。「駅までだろ?乗ってけよ!」と声をかけてくれました。
「こんな都会にも田舎人情味のある人がいるもんだなぁ」と思い、いそいそ乗り込みました。
私の後にカップルが乗り込み発進しました。しばらく車内は無言でしたが、そのおじさんとカップルが話し始めました。私は黙ってその話を聞いていましたが、途中から気がつくことがありました。
「あれ?このおじさんとこのカップルは知り合いだぞ!
ということは、乗ってけよ!と声をかけたのは私にではなく後ろにいたカップルに声をかけたのではないか!」
「しまった!」と思いながら
「お願いだから、話しかけないでくれ!」と、大きな図体を縮こまらせていました。

駅までの道のりはとても長く感じましたが、程なく駅に到着しました。
車から降りた時におじさんに
「声をかけてくれたのは私にではありませんでしたよね。
図々しく乗り込んで、ついては駅まで送ってもらってしまってすいません。ありがとうございました。」
するとおじさんは「いや、人助けができてよかったよ。」と一言。
笑顔で帰って行ってしまいました。
私は恥ずかしさのあまりか、その言葉が今でもずっと心に残っています。

「君は違うよ」とは言わず、外見で人を判断せず、お礼をいう私に「人助けできてよかったよ」と逆にお礼を言われる。
人助けとはなんたるかの境地に同乗させていただきました。

津別町 禅昌寺
木内洋彰

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