「除夜の鐘」
法話
2017/12/30
2017年12月30日放送
年の瀬も押し迫ってきた毎日となりました。一年を振り返ってみると、今年も様々な事件や出来事が過ぎていきました。九州地方に集中した災害、日本各地を駆け巡った猛暑、台風、我が子への育児放棄や身内を巻き込んだ悲しい事件、そして相変わらず減らない老人を対象にした詐欺事件の数々など、昔では考えられないほど人間の心が変化しています。インターネットやスマホなど架空世界に入り込んでゲームに熱中する人々の姿全て悪いとは言いませんが、他人と関わることを避けて他人の思いやり譲り合いの精神が育っていけるのか疑問です。
本来持ち合わせていた日本人の美しい心や思いやりの精神はどこに行ったのでしょうか?野生の動物でさえ厳しい自分の中で必死に生きて子育てをしています。賢いはずの人間が下手に心を持っているが故に悩み、苦しむとはいえそれらを解決できる知恵もあるはずです。
さて、昔の人は、毎月の終わりを『晦日』と呼び、十二月三十一日が一年の終わりであることから『大晦日』と呼びました。
さらにこの日は古い年を除ける日というこ事で『除日』、その夜なので『除夜』と呼ぶのです。もうすぐ聞こえてくる『除夜の鐘』がうるさいと 騒音の対象にしてしまう時代にだけはならないで欲しいと心から願っています。人間の持つ百八の煩悩を消して、仏の心を感じられるであろう『除夜の鐘』が、今年も頑張った人々の心に美しく響きますようにお祈りいたします。
良い年をお迎えください。
美唄市 東禅寺
谷口 哲章
谷口 哲章