法話

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「水鳥」

法話   2016/04/09
2016年04月09日放送

世の中は 何にたとへん水鳥の はしふる露に やどる月影
水鳥のゆくもかえるも跡たえて されども道はわすれざりけり
長かった冬も終わり、春の訪れとともに渡り鳥が飛来する季節となりました。雪解け間もない田畑や水面に、オオハクチョウやマガンの群れが羽を休めております。
北海道は渡り鳥たちにとって重要な中継地点だそうで、ちょうどこの時期は、本州からシベリアへ約4千キロもの旅路の途中に、しばし羽を休めるのだそうです。
その姿を見ていると、冒頭に詠みました道元禅師の和歌を思い浮かべます。
世の中は 何にたとへん水鳥の はしふる露に やどる月影
世の中は水鳥が嘴(くちばし)を振った時に散る水の滴のように、はかないものであります。しかしそうであるけれども、その一滴のはかない命の中にも、尊く光り輝くものを宿らせていかなければならない。そしてもう一首、
水鳥のゆくもかえるも跡たえて されども道はわすれざりけり
あたかも道があるかのように飛び、泳いでいる水鳥たちですが、その後には何も残っておりません。余計なことにとらわれずに、ただ正しい道を進んでゆく。
道元禅師も同じような風景をご覧になっていたのでしょうか。今も昔も変わらない露の如くはかない命ではありますが、少しでも何かを照らしながら、精一杯正しく生きてまいりたいものであります。

岩見沢市 孝禅寺
安彦 智峰

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