「自然と共に」
法話
2013/07/20
2013年07月20日放送
七月も後半となりそろそろ故郷に帰省計画の方もあると思います。私の住む町、増毛町は山と海の自然に恵まれた豊かな町です。人間は、豊かな環境の恩恵に育まれて今日に至りました。山の恵みに手を合わせ、海の恵みに手を合わせて偉大なる自然の力の存在を信じ、私たちは目に見えないものに今日も支えられています。
近年、情報化社会となり人間は頭で理解できないものには価値をおかない傾向にあります。しかし実は頭で理解できないものが私たち一人一人の人生を支えている。そのことを時折、意識して見直す必要があります。『歩歩是道場(ほほこれどうじょう)』という禅の言葉があります。生活の全てが修行である。毎日の生活の中に教えがあるという意味のことばです。
大自然のなかで自然の流れを見つけ、学び、自分のものにしていく。物事の移り変わりを納得していく。人間は自然の中から生まれてきました。個々別々の姿、形をしていても元を正すと大自然の一部です。山から流れ出した水がいくつかの川となるが、やがて海に帰って一つになるように。私を生み育ててくれた空気、水、大地に感謝し、想いをよせる時、そこに仏法があります。仏の教え、それは厳しかった父、優しかった母との思い出なのでしょう。
ふるさとの大地自然と一体となるとき、こころが開放されて楽になるでしょう。悩み多き心の病の時代です。故郷に帰って心を休ませてあげませんか。
増毛町 龍渕寺
野村 宣英
野村 宣英