「主人公」
法話
2013/05/25
2013年05月25日放送
昨今、インターネットの急速な発展に伴い、パソコンやタブレット端末或いはスマートフォン等を使って調べものをしたり、フェイスブックに代表されるソーシャルネットワークサービスを日常的に利用する方が増えています。私もそれらを利用している一人ですが、とても便利で使っているとあたかも自分の知識と経験が増したかのように感じられたり、実際にそこに行かずとも画像を見て現地にいるかのような感覚を得る事ができ、ある種の万能感を抱くことさえあります。
最近、自分の事を含めて全ての事を他人事のように感じて、自分が生きているという実感が持てない方が増えているようです。これはインターネットの普及が一因であると考えられます。さしたる努力もせず様々な情報に触れる事ができたり、仮想現実の世界で友人と付き合い、直接人と向き合う事なく生活することのできる中で、いつしか自己の存在までもが仮想の世界のものであると錯覚してしまっているのではないでしょうか。
皆さんは『主人公』という言葉を聞いたことがあるかと思います。一般的には物語や小説の主役の事を指して使われていますが、元々は禅の言葉で、その人それぞれの自己本来の姿・いのちの事を指す言葉です。
インターネットに代表される現代の技術は非常に便利なものですが、現実に生きている我々はそれに囚われすぎず、日常の生活の一挙手一投足にもっと意識を向け大切にすべきです。そうすることによって見えてくる世界、得る事の出来る実感が必ずあります。
皆さんの主人公はどんな姿でしょう? 今日一日、どうか大切にお過ごしください。
室蘭市 皓聖寺
東海林 穣山
東海林 穣山