2012年7月14日放送
法話
2012/07/14
2012年07月14日放送
ことわざに「病は口より入り、禍(わざわい)は口よりいず」とあります。病気は飲食によって起こり、災いは言葉によって起きる、故に口を慎みなさいという意味です。
病になる、ならないはともかく、「食事は人間を創る」と言っても過言ではありません。
禅の教えでは、日常生活の全てが仏道の実践である、としています。特にその中でも、食作法は重要とされています。
皆様方も幼いころから、両親や祖父母などから、箸の上げ下ろしから、お茶碗の持ち方まで大切な躾として身に付けた方は多いと思われます。中でも、「頂きます」「ごちそうさまでした」の食事の前後の挨拶は、ほとんどの方がお使いだろうと思われます。このことばには、たいへん深い意味が込められています。
それは、食事をするに当たり、食卓に並ぶご飯やおかずが、大自然の恵みであり、また数多くの人々の汗と努力の賜物であるということに思いを馳せなければならない、ということであります。また、食べ物は野菜であれ、肉・魚であれ、全て生命をもって活動していたものなのです。豚や鶏・サケやマグロは、人間に食われるために生きているわけではありません。私たちはそれらの命を頂くことによって、自分自身の生命活動を維持しているのです。
であればこそ、「いただきます」「ごちそうさま」と、感謝の心で食事をすることを忘れてはなりません。そして、他の命を頂戴して生きる以上、それに値する生き方をしているかどうか、常に自分自身に問いかける生き方を心がけていきたいものでございます。
別海町 法光寺
斎藤 雅龍
斎藤 雅龍