2012年3月10日放送
法話
2012/03/10
2012年03月10日放送
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禅寺といえば、精進料理を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 精進料理の味付けには六種類の極意があります。それは苦い・すっぱい・甘い・辛い・しょっぱい。それと、淡い味です。
さて、最後の淡い味とはどんな味のことなのでしょう。 みなさん、おわかりでしょうか? 淡い味とは、一口食べておいしいと感じる味ではなく、食べ終わってから、じわじわとおいしさを感じる、そのような味のことです。素材本来の味がわかりやすくなる淡い味を心がけていれば、おのずと、おいしく、見た目もよく、また栄養的にも優れた、心身を養う料理となるはずです。
昨今、どんな料理にもマヨネーズをかけたり、トウガラシを振ったり、さまざまな調味料をかける若者が増えています。これではせっかくの料理も、本来の味や、料理を作ってくれた人の真心が分からなくなってしまいます。
永平寺の道元禅師は料理をする人の心得として、「軽くあっさり」「清潔で清々しく」「正しい手順で丁寧に」という三つの徳目を示されました。食べ物を頂く私たちは、この調理をしてくれた方の真心と素材の本当の味を理解することができるような食べ方を心がけなければなりません。
食という文字は、「人」と「良」という文字が重なり合ってできています。食が乱れるということは人が乱れるということだと、肝に銘じてゆきたいものであります。
札幌市 含笑寺
谷川 正純
谷川 正純
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