2011年3月12日放送
法話
2011/03/12
2011年03月12日放送
最近、孤独死の増加、大切なはずのわが子を虐待する親、更に所在不明の高齢者が存在していたり、自分の親と何年も会っていないと平然と答える人がいたり、最悪は親の遺骸を放置したり隠していた人がいるという実態が明らかになり、無縁社会といわれる現代社会の実像の報道に触れる度に、最近の日本での人間関係に明るい未来の展望を感じることができません。
今一度、自分の生命のあり方を考えなければなりません。 私たちの今ある生命は、全て尊い縁を頂戴している生命であります。物やお金だけでは手に入るものではありません。つまり私たちは決して無縁ではないのであります。 「袖すり合うも多生の縁」、「袖の振り合わせも五百生の機縁」と古来より言い伝えられてきた様に全て縁に依って成り立っている生命であり人間関係であります。
あまりにも自分勝手な気ままな考えや、欲深い心に依って人間関係を断ち切り、現代社会の実態になっているのではないかと思います。 自分の生命は、ご先祖さまからつながっている縦の線と様々な人や物、自然の恵みとつながっている横の線に結ばれているのであります。きちんと結ばれているからこそ安心していられるのであります。その縦横の線は簡単には切れない、あたかも鉄でできているような固い線であります。
まもなく春のお彼岸を迎えます。ご先祖様、親に、自然に感謝の合掌を「ありがとう」の想いを添えてささげたいものであります。
剣淵町 神龍寺
松井 宏文
松井 宏文