2011年1月29日放送
法話
2011/01/29
2011年01月29日放送
以前、あるお檀家のおばあちゃんとお話をする機会がありました。
「副住職さん、私は主人が亡くなってから長いことたつけど、毎日主人と私なりに会話しているんですよ」と言ってきたのです。
私は「どういう事ですか?」と聞いてみますと、
「私は毎日ご飯をお供えしてお参りをするんだけど、お参りをするときは、必ずお線香をお供えして静かに手を合わせるの。すると日によってお線香の煙の昇り方が違うんですよ。すーっと1本線のような煙は、主人が機嫌の良い日。煙がくねくね曲がる日は、主人が機嫌の悪い日と決めてるの。だから自分の息や仕草で煙が動かないように、気をつけて心静かに手を合わせるの。機嫌の悪い日は大変なんだよ。位牌に向かって機嫌が良くなるようにたくさん話しかけないといけないから。でもね、毎日の楽しみなんだよ。」と笑ってお話しされました。
私はこのお話を聞いてとても心が温かくなったのと同時に、曹洞宗の開祖 道元禅師様が幼少のころ、亡き母の葬儀でお香の煙を見て、無常の心を感じたという話を思い出し、そのことをおばあちゃんに伝えると、「道元禅師様と一緒にされては申し訳ないわ」と笑っておられました。
皆さんもお仏壇の前で、お線香をお供えして心静かに手を合わせてみましょう。 もしかすると、道元禅師様のように、普段気付かない何かに気付くかもしれません。 または、おばあちゃんのように、ご先祖様がより近いものとなり、より太い絆で結ばれるかもしれませんね。
深川市 大玄寺
横山 信光
横山 信光