2011年1月15日放送
法話
2011/01/15
2011年01月15日放送
あと一年の命と告知された男性が入院をしていました。
彼は医師の告知に愕然とし、「一体自分の人生は何だったのか」と嘆き、医師や看護師のみならず周囲の患者やあらゆる人に当たり散らし、恨み、病院で持て余され、孤独な入院生活を送っていました。病院の依頼を受けたカウンセラーは「今まで社会貢献や人に親切にしてきたのは何のため」と彼に尋ねました。彼は答えました。 「楽しい老後を過ごし、皆に愛され、感謝され、多くの人に看取られながら息をひきとることが夢だった」と。そこでカウンセラーは言いました。
「残念なことですが、あなたが描いていた老後の楽しみは実行出来ない状態です。どう生きてきたかではなく、どう生きたいのか考えてみませんか。残された一年を愛されて過ごし、あなたの望み通り感謝されながら息をひきとるか、今のまま周囲の人に当たり散らし、孤独で悲嘆にくれ、不運を恨みながら死んでゆくか、どちらの生き方を選択しますか、どの選択もあなたの自由、あなたの人生です」
その後、この男性はこれまでお世話になった人達を病院に招き感謝の気持ちを伝え、周囲の患者達を勇気づけ、愛され感謝され一年半後に多くの人に看取られ、惜しまれながら亡くなりました。
どんな不運に遭っても、あわてることもない、騒ぐこともない、あるがままに受け入れ、心乱すことのない仏心を修行し、二度とない人生を悔いなく生きたいものです。
例話は貯広委通信 ライフマネジメント研究所長 稲岡真理子さんの随想より
浜頓別町 天祐寺
橋本 俊弘
橋本 俊弘