2011年1月1日放送
法話
2011/01/01
2011年01月01日放送
今年もまた「曹洞宗の時間」を宜しくお願い申し上げます。
年頭に当たり、世界平和と人類の幸福を心からお祈りいたします。
さて、今回はウサギ歳。昔、道内にはたくさんの野うさぎがいましたが、最近はめっきり見かけなくなりました。ウサギが減った理由は、棲家となる野原の減少であるとか、北キツネの増加、あるいは外来種のアライグマの繁殖などがあげられていますが、本当の理由はよくわからないそうです。
ことわざに「ウサギ死すれば、キツネこれを悲しむ」とあります。同類の不幸を縁者が悲しむ例えです。これは、同類の死は、やがて我が身にもふりかかる、ということをいみしています。食物連鎖をみても、この世にあるすべての動植物は互いに持ちつ持たれつの生活をしていることがわかります。仏教ではこれを「因縁」あるいは「縁起」といいます。現在では、因縁をつける、とか縁起がいいというふうに使われますが、正しくは存在の真理を示している言葉であります。
私は、あなたがこのラジオを聴いてくださっているからこそ、今ここで話をすることができるのです。
そして私には、家族があり、近所の方々があり、共に仏道を歩む友があります。それだけではなく、数限りない多くの人々に支えられて、今があるのです。
生きとし生けるもの全てが、共に生きる喜びを分かち合えるような世界を実現したいものであります。
曹洞宗北海道教化センター
統監 藤原 重孝
統監 藤原 重孝