2010年8月7日放送
法話
2010/08/07
2010年08月07日放送
数年前お檀家のKさんの奥様がガンでお亡くなりになった時の事です。 Kさんは行商から一代で大きな洋品店を築かれた方ですが、四七日のお参りに伺った折、お経が終わりお茶をご馳走になっていると「お寺さん、合掌っていうのはするもんじゃないんだね、させられるもんだね」そう云って「自分は今まで商売に忙しくて合掌の事なんか考えたことがなかった。葬式や法事に行っても格好だけは手を合わせても心から合掌した事なんかなかった。だけど家内が死んでから、ここへ来るともう自然に手が合わさってしまう。あぁ、合掌っていうのはするもんじゃないんだ、させられるものなんだなーって初めて気がついたよ」としみじみおっしゃいました。
私も修行時代に師匠から「合掌は仏様をむこうに置いて拝んでもだめだ。自分の処に引っ張ってきて、仏様と一体にならないと本当の合掌ではないぞ」とよく云われました。
仏様と一体となる。そうです、Kさんも奥様と一体となり心の中の奥様に対して合掌をしていたのです。つまり自分自身に対して合掌をしていた。合掌とは自分自身を拝む姿だったのです。
今年も御盆の季節を迎えました。御盆には多くの人が故人を偲んでお墓やお寺参りを致します。仏様や亡き人と一体となれる様な、そして自分自身を拝む様な合掌を心がけたいものであります。
留辺蘂町 大泉寺
黒澤 均英
黒澤 均英