2010年7月17日放送
法話
2010/07/17
2010年07月17日放送
渾身口に以て虚空に掛る
東西南北の風を問わず
ただひたすらに他がために般若を談ず
滴丁東了滴丁東(チンテントンリンチンテントン)
道元禅師の師匠、中国天童寺の如浄禅師が示された風鈴という歌です。
例年になく蒸し暑い日々が続いていますが、いかがおすごしでしょうか?
今年も、風鈴が似合う季節となりました。暑い日に一服の清涼感をもたらしてくれる風鈴。軒先にブラリと下がり、風が吹けばその全身全霊で、チリリンチリリンと涼しげな音を聞かせてくれます。
私たちは、生きてゆく上で、自分の利益を考え、あっちについたり、こっちの顔色を窺ったりという偏った生き方をしてしまいがちです。風鈴が音を出すことができるのは、偏らず、ただ、まっすぐにぶら下がっているからです。さらに、吹いてくる風をより好みせず、それこそ風任せで、ただひたすらに音を奏でます。勿論、いい音色の時もあれば、少々やかましくなることもあります。しかし、その音を聞くことで、私たちは風を耳で観ることができるのです。
人間の世界には様々な風が吹きます。順風・逆風・そよ風もあれば、心が折れてしまうほどの突風が吹くこともあります。
しかし、どんな風に吹かれようとも、ただひたすらに、自分のなすべきことを淡々と確実に行ってゆきたいものであります。
札幌市 眞龍寺
飯田 整治
飯田 整治