2010年6月12日放送
法話
2010/06/12
2010年06月12日放送
この時期になりますと、必ず本州にいる親友から電話がかかってまいります。内容は毎年一緒で、「北海道は梅雨がなくていいな、北海道に住みたいよ」との声。北海道民で良かったと思う瞬間です。
みなさんキンモクセイという木をご存知ですか?秋になるととても良い香りのする花を咲かせます。私が本山で落ち葉掃きをしている時、何ともいえぬいい香りがしてきました。今まで嗅いだことのない匂いでしたので、仲間に聞いてみたところ、それがキンモクセイの香りでした。当時の感動が忘れられず、この木の北限は青森といわれていますが、庭に苗木を植えました。梅雨の無い札幌に根づくのかが心配です。この木にとって、梅雨はとても大事なのです。梅雨によって葉がキレイになり、それが秋に良い香りのする花へとつながってくるそうです。我々人間にとって梅雨はジメジメとした長雨でやっかいなものでしかありませんが、キンモクセイにとってはこの梅雨こそが最も重要なのです。
お釈迦様は法句経の中で「自分が嫌いな人がいたら、離れて遠くから見てみなさい。いい所が沢山見えるはずですよ」と言っておられます。物事を色々な角度から見てみれば違った見え方があるというお釈迦様の教えを自然の植物からあらためて教えられた気がしました。本州の人が最も嫌がる梅雨も、今の私にとっては少しうらやましく思い、毎日キンモクセイの葉に水をかけています。
札幌市 禅福寺
前田 昌鑑
前田 昌鑑