法話

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2012年9月8日放送

法話   2012/09/08
2012年09月08日放送

これは、私が本山で修行している時に、先輩僧に聞いた話です。
いつも顔色のすぐれない一人の修行僧がいました。雑巾がけをしていてもすぐに息切れをおこし、動作もにぶい。そんなわけで、先輩に怒られっぱなしでした。そこで、先輩が理由を尋ねました。彼は、生まれつき心臓が悪く、十歳ぐらいから入退院を繰り返してきたとのこと。そして二十歳を過ぎてからは、手術もできず、将来の展望すらできない状況になってしまったそうです。そこで彼は『お寺に生まれたのだから、どうせ死ぬのならお坊さんとして死にたい』と、正に決死の覚悟で本山に修行にきたそうです。発作が起きたらおしまい、という状況のなかで彼は三年間も頑張りました。
道元禅師は「病気を治してから修行しようとしないで、仏法が一番大事と思ったら、必ず、この命があるうちに、と思って修行にとびこめ」と、おさとしになられています。また、私たちの人間としての命は、仏様の行いつまり仏道を行うことができうる、仏さまの命である、と言われています。
胃潰瘍を治すのは、酒がおいしく飲めるために、ではなく、仏さまの命の元である、肉体の健康を保つためです。同様に、私たちのこの体は、使い方によって、善人にもなれば悪人にもなります。そして何人も、悪い行いをするために生きているわけではありません。
「もろもろの悪をつくらず、生死に著(じゃく)するこころなく、一切衆生のために、あはれみ深くして、かみをうやまい、しもをあはれみ、よろずを厭うこころなく、ねがふこころなくて、こころに思うことなく、うれふることなき、これをほとけと名づく」
道元禅師のおことばです。

初山別村 龍華寺
松本 弘哉

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