それぞれのいのち
法話
2026/08/09
2026年08月09日放送
おはようございます。小樽市正法寺、荻野徹宗です。
今回はお釈迦様の教えをまとめた「法句経」という経典から、次のような一節をご紹介いたします。
「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。己おのが身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」(ブッダの真理のことば 第十章百二十九)
あらゆるひとは暴力を恐れ、死を恐れる、それゆえに自らのいのちと同じように、奪ってはならないし、傷つけてはならない、というお釈迦様のメッセージです。
この一節から思い出すのは私の祖母のことです。
昭和二十年の八月、祖母は当時の樺太、現在のサハリンで生活していました。ソ連軍の侵攻が始まると、現地に暮らしていた人は急いで避難を始めましたが、その途中で多くの方が命を落とされました。
祖母は命からがら小さな漁船に乗って、北海道にたどり着くことができましたが、そのことは長い間、自分のこどもにも、孫の私にも語ることはありませんでした。
かつての、そしていまも世界で起こる戦争や戦災について思うとき、生きたくても生きることができなかった人、家に帰りたくても帰れなかった人、そしてその人を待っていた人がいることを忘れてはなりません。
あらゆるひとは暴力を恐れ、死を恐れる、それゆえに自らのいのちと同じように、奪ってはならないし、傷つけてはならない。
私の命もあなたの命も大切な命です。それぞれの命を思いやって守ることができる日々を目指してまいりましょう。
小樽市正法寺
荻野徹宗
荻野徹宗

