法話

法話   2026/04/12
2026年04月12日放送

おはようございます。札幌市峯光寺小野隆見です。
4月に入り北海道もようやく春めいてまいりましたが、今年の1月25日、札幌市では大雪警報が発令され、交通機関も次々と止まり、1月の観測史上一番の降雪量となりました。
その日、私は檀家さんの月参りに伺っておりました。
そのご自宅にはショベルカーがあり、「雪かきも助かりますね」と、そんな話をしておりました。お勤めとお話を終え、帰路についたその直後の事です。車で百メートルほど進んだところで車が雪に埋まってしまいました。前にも後ろにも動きません。ドアを開けようとしても、雪に押し返されて開かない。ようやく別のドアから外に出てみると、車の底がつかえ、完全に浮いた状態でした。近くで除雪をしていた方々が駆け寄り、スコップで雪を掘り、車を押してくださいます。しかし、びくともしません。
そのときです。先程お参りをしていたお檀家さんが、遠くから歩いてこられました。
「引っ張ってみるかい?」
そう言って、先程話題にしていたショベルカーを持ってきてくださり、牽引ロープで引いてくださいました。ガガガ、と力強い音と共に、ようやく脱出することができました。
普段、当たり前のように走っている道路も、冬になれば雪に覆われます。その雪を、誰かが除雪してくださっているからこそ、私たちは車を走らせることができるのです。どんな機械も、どんな便利な仕組みも、そこには必ず人の働きがあります。名前も顔も知らない誰かが、道を整え、機械を作り、電気を送り、除雪をし、社会を支えている。私たちは知らず知らずのうちに、無数の「誰か」によって生かされているのです。仏教では「縁」と申します。すべては関わり合いの中にある、という教えです。
雪に埋まり、動けなくなったあの日、私はそのことを身をもって知らされました。人は一人では歩めません。押してくれる人、引いてくれる人、道を整えてくれる人がいて、初めて前へ歩めるのです。
これからも私たちは、顔も名前も知らない誰かに助けられるでしょう。そしてまた、知らぬ間に誰かを助けているのかもしれません。その見えないつながりの中に、私たちは生きています。
どうぞ今日一日、出会うご縁を大切にお過ごしください。

札幌市峯光寺
小野隆見

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