春は花、夏は涼風、秋は月、冬は雪
法話
2026/03/01
2026年03月01日放送
皆さま、おはようございます。
余市町大乗寺副住職の石塚惠多と申します。
三月一日。暦の上では春を迎えました。とはいえ、ここ北海道では、まだ雪が残る頃。
けれども、陽の光は少しずつ力を増し、軒先のつららが、ぽたり、ぽたりと音を立てて溶けていきます。
雪の下から顔を出す、ふきのとう。その小さな命の力強さに、春の息吹を感じます。
厚い雪の下から、じっと時を待ち、やがて芽吹くその姿に、私たち一人一人の仏性を重ねてみたくなります。どんなに寒く、長い冬でも、必ず春は訪れ、命は芽吹くのです。
中国の禅僧・無門慧開禅師は、『無門関』の中で、こう記しています。
「春は花、夏は涼風、秋は月、冬は雪」。これは、四季の美しさを愛でるだけでなく、
今この瞬間を、そのままに受け入れることの大切さを説いた言葉です。
私たちは日々、過去を悔やみ、未来を案じ、心を忙しくさせがちです。
しかし、春の花が咲くように、ただ今を生きることが、仏の道なのです。
坐禅もまた、今に心を置く修行です。呼吸に意識を向け、思いを手放し、ただ坐る。
そこには、善悪や損得を超えた、静かな安らぎがあります。
雪解けの音に耳を澄ませ、ふきのとうの芽吹きに目を留めるように、皆さまも一度、
静かに坐ってみてはいかがでしょうか。
心の雪が溶け、やがて花が咲くかもしれません。
どうか皆さまの心にも、春の光がそっと差し込みますように。
今日も、仏の教えとともに、穏やかな一日をお過ごしください。
ご清聴、ありがとうございました。
余市町大乗寺
石塚惠多
石塚惠多


