おはようございます。安平町　瑞雲寺　増坂　泰俊です。
本日は「慈悲」の心についてお話し致します。
「慈悲」とはあらゆるものの幸せを願い苦しみから救いたいと思う仏さまの心です。

我が家には幼稚園に通う五歳の息子と二歳の娘がおり、息子はクマのぬいぐるみ、娘はうさぎのぬいぐるみを肌身離さずいつも可愛がって、寝るときには隣に寝かせて布団を掛けて一緒に寝ているのですが、先日、祖父の法事があり、その準備の為、妻が二人の子供を連れて前日に帰省することとなりました。
すると息子が、「とうちゃんは一緒に来ないの？」
「仕事があるから一緒には行けないんだ。明日行くから待っててね」と、私が答えると、
「じゃあ、今日の夜は一人で寝るの寂しいね。そうだ、ちょっと待ってて」
「はい、これクマ君どうぞ」
そう言って息子はクマのぬいぐるみを旅行鞄から出して私に貸してくれました。
それを見ていた娘は自分が抱えていたうさぎのぬいぐるみを見つめながら、「はい、どうぞ」と私に預けてくれたのです。
「二人とも大事なぬいぐるみ良いの？」
「いいんだよ。だってこれでとうちゃん寂しくないでしょ」
大きくうなづく二人の姿を見ながら私は「ああ、ここに仏さまがいらっしゃった」と子供達の相手を思いやる慈悲の心に仏さまを見たのです。

「慈悲の心」仏心（ほとけごごろ）とは特別な、難しいものではありません。
何気ない日常生活の中でこそ私達は仏さまの心と出会うことが出来るのです。