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百尺竿頭進一歩

法話   2020/09/26
2020年09月26日放送

おはようございます、札幌市 瑞現寺 齋藤徳光です。
禅宗の僧侶としての道を歩んでいますと、必ず「百尺竿頭進一歩」という言葉に出会います。私の大切にしている言葉の一つです。
皆さまもどこかの和室にかけられている掛け軸などで、実は目にしているかもしれません。
百尺竿頭とは、約30メートルの長い竿の先端の事を、日々努力精進を積み重ねている状態に例えています。「進一歩」とは、その歩みのさらに一歩進めよ!という意味です。
つまり、日々努力精進を積み重ねつつも、さらに工夫を尽くし歩みを一歩進めよ。という意味です。

今年の大相撲7月場所で、東前頭十七枚目の「照ノ富士」が、5年ぶり2度目の優勝を果たしました。この優勝は十四場所ぶりに幕内に復帰しての優勝でした。
大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降2人目です。両膝の負傷や内臓疾患に苦しみ、序二段まで番付を落とした一人の力士が、大相撲史に残る復活劇を成し遂げ国民に勇気と感動を与えてくれました。
優勝後に、記者から今回の奇跡の復活劇に対する心境を問われた際の照ノ富士関の答えが印象深かったのでご紹介致します。

「表彰式の時に見上げた2階席の壁に、初めて賜杯を抱いた5年前の優勝額が飾られている。序二段まで落ちた後、幕内に復帰してからは、あと何場所で優勝額が下ろされる、額が下ろされる前に次の新しい優勝額を飾るんだという思いでやってきた。できて良かった。また増やしていきたい」と語りました。
優勝額は東西南北の壁に8枚ずつ、計32枚飾られ、古い順から取り外されてゆきます。5年ぶりの優勝ですから30場所ぶりに優勝額が飾られたわけです。自身の目標としていた額が消える2場所前に、晴れて再び優勝額が飾られることになったのです。

時間というものは私たちに平等に与えられ、そして平等に消費されてゆきます。
結果がどのような形になろうとも、肩書きや、プライドの枠に囚われず一歩一歩、努力精進を積み重ねてゆくことに真の価値が宿るのではないでしょうか?

今日も1日、それぞれの「百尺竿頭進一歩」を積み重ねたいものです。

札幌市 瑞現寺
齋藤徳光

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