おはようございます、芦別市　大興寺　田中貫志と申します。
今日のお話は「仏様の誓願に生きる」であります。誓願とは仏教徒としての正しい願いであり、自分以外の為にお誓いをたてる事です。皆様はどんなことを願い本年をスタートされたでしょうか。私はある出会いによって、仏様の誓願を身近に感じることがありました。それは年明け早々にあるお宅にお参りで伺った時の事です。いつものように読経を終え振り返りますと、家主のお孫さんがちょうど帰省していたのでしょう。「僕、ちゃんとお願い事したよ」と嬉しそうにお母さんに報告していました。その姿に何だか温かい気持ちになり、そして何よりその願い事が友達のためであると聞いて心を打たれました。同時にさて私自身はどんな願いや思いを持って、今お勤めさせて頂いていたのか。すぐに答えの出せない自分を恥じ、そして先ほどのお孫さんとお母さんの姿に仏様のみ教えをみました。大切なのは何を願うかではなく、自分がどういう存在なのかという事に、私自身が気づくという事でありました。私たちは誰もがすでに願われてこの世に生を受けています。産まれる前から、そして今も。ご先祖さまや大切な方々は、私たちの幸せを願っていることでしょう。それは私自身もきっと皆さまも、子孫や大切な方々の幸せを、願い続けるからに他なりません。そのようにあり得難い命を頂き、仏様のみ教えに出会っている私たちは、自分ばかりではなく他者の幸せを願わずにはいられないのです。他者を思いやる願いを持ち、良い行いを大切な方々に報告していく。私の出会った親子の姿は、誓願に生きていく私たちと、見守って下さる仏様のお姿でありましょう。