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誓願

法話   2026/01/11
2026年01月11日放送

おはようございます。夕張市實相寺 夏目裕介です。
新しい年を迎え、多くの方が「今年の抱負」を心に抱いていらっしゃることでしょう。ダイエット、資格取得、貯金。あるいは、もっと優しい人間になりたい、怒らないようにしたい、といった心のあり方に関する目標かもしれません。仏教では、この目標設定という行為そのものが、苦しみの始まりとなる可能性を説きます。なぜなら、私たちが目標を立てる時、その根底にあるのは「今の自分は不十分だ」「これではいけない」という、現状への不満、すなわち煩悩だからです。望んだ結果が得られなければ、私たちは失望し、自己を責める苦しみに陥ります。これは仏教が説く「求不得苦」すなわち求めても得られない苦しみそのものです。
では、私たちは新年に何を目標とすれば良いのでしょうか。仏教の教えには、その答えがあります。それは、煩悩そのものを否定するのではなく、むしろそれを活かすというような思想です。「煩悩即菩提」という言葉があります。「煩悩がそのまま悟りである」という言葉ですが、これは「煩悩を抱えたままで良い」という意味ではありません。正しくは、煩悩は悟りの邪魔になるものではなく、悟りへの道を照らす光となる、という深い教えです 。煩悩を無理に断ち切ろうとするのではなく、それを悟りのためのエネルギーに変えましょうという事です。私たちの心の中に煩悩があるからこそ、悟りの菩提心を目覚ます事ができるのです。
この考えに基づけば、新年の抱負は単なる個人的な「目標」から、より大きな「誓願」へと昇華されます。坐禅のように「ただあるがままに生きる」ことを究極の目標としてはいかがでしょうか。
私たちは皆、不完全な存在です。新年に、完璧な自分になることを誓う必要はありません。むしろ、心の奥底にある煩悩を深く見つめ、この煩悩を悟りの燃料として活かし、自分だけではなく他者の苦しみも和らげられるような一年を過ごしたいと願うことこそ、仏教が説く、真に豊かな生き方ではないでしょうか。
回り道や寄り道も、すべては人生の「有益な道」であると信じて 、今日から、今この瞬間を大切に生きていきましょう。

夕張市實相寺
夏目裕介

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