法話
2020/06/13
2020年06月13日放送
おはようございます、札幌市 含笑寺 神谷俊英です。
「常に笑みを含み、顔をのべ、平視して、顰蹙(ひんしゅく)を遠離(おんり)す」
これは観音さまの表情を示した一文です。”常に笑みを含み顔をのべ”とは、いつも微笑みを忘れず、顔をしかめずという事です。
”平視して、顰蹙を遠離す”とは、すべてのものを平等に見て、眉間にしわを寄せるようなことはしないということを示した意味です。
観音さまは、心の修行を完成して、それでお終いではなく、その後に、美しい微笑みの修行があり、はればれとした顔の修行をされているのです。
なるほど、観音さまのお顔に諭され、心温かくなるわけです。内面が整うと、姿・形も整ってくることでしょう。しかしまた、内面が整わなくても、姿・形を努力して整えることで、内面が自ずから整うこともあります。微笑むことで、心も温かくなるということです。
「眉間のシワに幸せなし、微笑む顔のシワにこそ幸きたる」
どうぞ一緒に微笑みを合わせていきましょう。
最後に皆様、一つご注意を。
この原稿を見た妻が私にひとこと言ったのです。
「他所様(よそさま)だけに微笑みまかず、我が家の中にも忘れずに」
妻の言葉で反省しました。外ではニコニコするのは良いけれど、それで疲れて家では無表情。そんなことでは意味がありません。先ずは大切な人の傍で、眉間のシワをピンと伸ばして微笑みを保つことが、幸せへの第一歩かもしれません。
身と心を整えて、顔も心も柔らかくありたいものです。
札幌市 含笑寺
神谷俊英
神谷俊英