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「祖父の言葉」

法話   2018/03/03
2018年03月03日放送

皆さんは心に残る言葉、また大切にしている言葉というのはございますか?
今日は私の心に残る一つの言葉についてお話をさせていただきます。

その言葉をくれたのは私の祖父、先代の住職でした。私の祖父は今から二十数年前、私が高校を卒業して間も無く亡くなりました。大正生まれの厳格な禅僧で、幼い頃から厳しく、怖かったことを覚えています。そんな祖父も晩年は長く病と闘っており、私が物心つく頃には話すこともままならなくなり、二人で多く言葉を交わすことはありませんでした。私が祖父の言葉に出会ったのは今から十数年前のことです。
私が僧侶としてようやく歩きだした頃、師匠である父から渡された一本のかセットテープの中に祖父の声が残されていました。
「釈迦は行け、弥陀は来いとの 槍鉋(やりがんな)只ひとすじに 黒壺の糸」
静かに、しかし優しく人々へ語りかける祖父の言葉は次のように続けます
「お釈迦様はまっすぐに進みなさいと言う。阿弥陀様はまっすぐにこちらに来なさいと言う。槍鉋は宮大工さんの使うまっすぐな長い槍の形をした道具、黒壺は木材にまっすぐな線を引く道具です。二つとも長くまっすぐだ。私たちは只ひたすらに御仏を信じ、教えられた道をまっすぐに生きることです。その道を外れれば人生に悩み、苦しみが生まれる。そんな時は自分が今、まっすぐに歩んでいるかを見つめることです」
その当時、僧侶としての将来に悩み、苦しんでいた自分の心に、
「まっすぐに進め」と優しく語り掛けてくれたようでした。
「釈迦は行け、弥陀は来いとの 槍鉋(やりがんな)只ひとすじに 黒壺の糸」
悩み多き今の世に、自分の生き方を見つめ直し、正しく生きることの大切さを思い出させてくれます。黒壺で描かれた御仏へと続くまっすぐな線の上を、本日も歩いてまいりたいと思います。

伊達市 大雄寺
奥村 考裕

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