法話

ポッドキャスティング配信データ
ポッドキャスト番組
左のアイコンをiTunesのウィンドウに
ドラッグ&ドロップして登録できます。
iTunesのダウンロードはこちらから

初心忘れるべからず

法話   2025/10/05
2025年10月05日放送

おはようございます。月形町北漸寺住職 鶴原憲秀。
初心忘れるべからずとよく耳にしたり口にしたりします。座右の銘、人生教訓、自戒等とにかくさまざまな場面で使われる表現です。
私は約四十年程前に修行を終えて自防に戻り、青年宗侶として師匠の教えを学び、厚き志を抱き壇務に励んできたのです。師匠遷化の後も三十一歳で住職を拝命し仏法世法を学びながら檀無に公務にと全力で勤め時来住職として三十年の月日を過ごしてきた今日、省みてどうだろうか。以前の篤い志があるだろうか。おごり慢心はないだろうか。年齢を重ねると須らく要領良く、効率を考え、妥協することが確実に増えています。昔の希望に燃え、正義感に溢れ、何事にも一生懸命であった自分の姿は今何処と嘆く毎日です。
しかし転機は唐突に訪れたのです。昨年の二月、長女の夫より出家したい旨の申し出があったのです。あまりの突然の事で戸惑い半分、喜び半分、本人の意思を確認、尊重し、更に両親の承諾を得て早々に得度、僧堂安居、彼は何の準備も予備知識もないままに修行の身となったのです。見る事、聞く事、行ずる事全て初めての事で辛苦が多かったでしょう。きっと胸中は後悔の念で一杯だったに違いありません。僧堂生活にも徐々に慣れ、また丁寧な指導のお陰で多くを学び、基本作法、動作身体を身に付け、一年でありましたが、修行を終え大志を胸に帰山。真面目で勉強熱心な弟子は何事にも意欲をもって真剣に取り組み、わからない事は積極的に質問し理解しようと努力する姿は、私の心の奥にある若い頃の気持ちを引き出してくれているのです。
このような形で忘れていた初心を思い出させてくれた弟子に感謝。
「初心忘れるべからず」私だけではないはずです。おごりはありませんか。慢心はありませんか。

月形町 北漸寺
鶴原憲秀

最新の法話
2025年10月05日
2025年09月21日
2025年09月14日
2025年09月07日

一覧へ戻る