「膨張するパスタ」
法話
2018/11/03
2018年11月03日放送
おはようございます、小平町 興聖寺 仙石量山です。
この間、私はお昼にパスタを茹でました。パスタは通常一人分だと大体百グラムほどと言われますが、茹でる前の百グラムのパスタは手に取るとなんとなく少なく感じます。とてもお腹の空いていた私は百グラムでは足りない気がして、倍の量を茹でました。皆さんご存知の通り、パスタは茹でると膨らみます。案の定、大量のパスタが茹で上がり、一度には食べきれず、その日の夜もパスタを食べることになりました。
仏教の言葉に「小欲知足」という言葉があります。「小欲」とは、少ない欲と書き、「知足」とは、足りることを知ると書きます。読んで字の如く、欲は少なく、多くを求めたり貪らずとも足りていることを知るということです。私たちはついつい自分が持っていないものが欲しくなり、よく考えてみれば自分には必要のないものを求めてしまいがちです。その欲しいものが手に入れにくいものであるとか、値段が高いとか、安いとかは関係ありません。今の自分に本当に必要なものであれば、それを求めることは貪りとはなりません。しかし、必要以上のものを求めたり買ったりすることは無駄遣いと言わざるを得ません。
どんなにお腹が空いていても、人それぞれ食べきれるパスタの量は決まっているのです。その場の感情や欲に左右され、必要以上に欲張らなくても、実は十分に足りているということがよくあります。「小欲知足」という教えの大切さを身に染みて感じながらパスタを食べたある日のお昼のお話でした。
小平町 興聖寺
仙石量山
仙石量山