「心の音(ね)」
法話
2018/07/21
2018年07月21日放送
おはようございます、鹿部町 宝光寺 清水大智です。
本日は「心の音」と題しましてお話をさせていただきたいと思います。
平成29年2月1日のとてもしばれる夜に私の父であり師僧である先代住職がこの世を去りました。師僧がよく私に話していた事が強く胸に残っています。
「5分でも良い。10分でも良い。静かな部屋で心静かに座ってごらん」と。
私は半信半疑で本堂へ行き座ってみました。
背筋を伸ばし、息を整え、心静かに座っていましたら、様々な音がスーッと耳へ入ってきました。風が吹き抜ける音、波を打ち寄せてまた引いていく音、草花や木々達が風に吹かれてサラサラとなびく音。日々生活している中で気にもとめなかった音が心地よく聞こえてきたのと同時に、心が穏やかになり、また心と自然とが一体化したような感覚に触れた事を今も鮮明に憶えています。
禅語に「看経の眼(かんきんのまなこ)」という言葉がございます。端的に申し上げますと「心のチャンネルを合わせる」という意味です。
私が師僧から心静かに座ってごらんと言われ実践した結果が「心のチャンネル」がピタリと合った瞬間であり、このことを師僧は伝えたかったのだなと改めて理解する事ができたのです。
人が生きるということは楽しいことはもちろん、辛いことも多々あるでしょうし、心に傷を負うこともあるでしょう。ですが、その心の傷を癒すのは人が人を想う心であり、その心に感じる温もりは人から人へと伝わるもの。その温かい温もりを感じるから私達は生きていけるのです。皆様も今一度振り返ってみて下さい。誰もが持っている温かい「心の音」を。
鹿部町 宝光寺
清水大智
清水大智