「お供え」
法話
2018/04/28
2018年04月28日放送
おはようございます、札幌市神龍寺 飯田整治です。
今年もゴールデンウィークが始まりました。ラジオをお聞きのそこのあなた、今朝はお仕事ですか。それともお休みですか。予定はいかがでしょうか。
五月の連休。山育ちの私は、この時季の山歩きを楽しみにしていたものです。残雪が残る野山は、藪草がまだ芽を出したばかりで、見通しが良く、歩きやすいものです。日当たりの良い場所には、春を待ちわびた野の花々が一斉にさきほこっています。とくにエゾエンゴサクの花の甘い蜜は、春の楽しみのひとつでありました。
小さな花房をちぎり、口に入れて吸うと、プチっという感触があり、ほんのりとした甘さと花の香りがします。まさに極楽の世界が広がる思いです。
お釈迦様は仏道を行する者の心得として、「蜂の花を摂るに、その味わいのみをとりて色香を損せざるが如し」と、飢えと渇きを除く場合も、蜂のように頂くことがよろしい、とお示しです。そこから、ご先祖さまに食べ物をお供えしても、色や形はわからない、けれどもその味わいを召し上がっているのだといわれるようになりました。故に仏様・ご先祖さまにお供えをするお茶やお食事は、湯気が立ち、香りがよいうちにお供えしなさい、ということになったわけであります。
ゴールデンウィーク。山菜採りの季節でもあります。あまり欲張らず、蜂のように、花の姿、香りを損なわず、味わっていきたいものであります。
札幌市 真龍寺
飯田整治
飯田整治