「感謝の気持ちを込めていただきます」
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九月に入り夏の暑さが少しやわらぎ、やっと涼しさを感じ始める秋の季節になりました。読書やスポーツ、行楽と様々なことに挑戦しやすい季節でもあります。皆さんは秋といえば何を思い浮かべるでしょうか。実りの秋でもありますから食欲の秋という方もいるでしょう。
私たち僧侶は食事を頂く際、「五観の偈(ごかんのげ)」を唱えます。この五項目をよく心にとめて食事をするようにという教えです。
禅の修行道場では、洗面や入浴、そして食事など日常の生活すべてが仏道の実践であり、禅の心と形を表すものとされます。なかでも重要なのが食事の作法で、これから口にする食べ物への礼拝、箸、匙、器の扱いなど厳しい所作で行われます。
日々の食事を通して自然の恵みや、社会の人々の働きに感謝の思いを持つことは修行者だけでなく、誰にとっても大切です。
あらゆるものが縁によって成り立つという仏教の思想、食べ物を大切にするということが仏さまの教えに当てはまります。たとえ米一粒でもその来処をたどれば沢山の人々との関わりがあります。食事の前後に合掌して感謝の意を表すことは生き方の姿勢としても大切ではないでしょうか。
もうすぐ秋のお彼岸です。実りの秋に感謝するとともに御先祖様への感謝の気持ちを込めて皆さんも食事をする際に「五観の偈」を唱えましょう。
一つには、功の多少を計り、彼(か)の来処(らいしょ)を量(はか)る。
二つには、己が徳行(とくぎょう)の全欠を(と)忖(はか)つて供(く)に応ず。
三つには、心を防ぎ過(とが)を離るることは貪等(とんとう)を宗(しゅう)とす。
四つには、正に良薬を事とするは形枯(ぎょうこ)を療(りょう)ぜんが為めなり。
五つには、成道(じょうどう)の為めの故に今此の食(じき)を受く。
南無釈迦牟尼仏
大徳 賢之
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