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「布施行について」

法話   2016/05/07
2016年05月07日放送

皆様は人になにかしてあげたとき、どのような気持ちになりますか?図らずも、なにかをしてくれたことに対してのお礼や感謝の気持ち、「ありがとう」の一言といった、見返りを期待してはいないでしょうか?
道元禅師は「布施というはむさぼらざるなり」、さらには「むさぼらずというはへつらわざるなり」とおっしゃいました。これは人に何かをしてあげるとき、見返りを期待せず、自己満足せず、純粋になにかをしてあげなくてはならない。見返りはあくまで結果であって、期待するものではないということです。
私たちが生きる社会では、モノやサービスが溢れています。私たちはお金という手段を用いて、その対価を支払い、それらを受け取ります。そのような状況下で暮らしている私たちは、なにかをしてあげればなにかをしてもらえる、感謝されるといった、見返りを期待した気持ちになりがちではないでしょうか?なにかをしてあげたとき、期待通りの結果が返ってこないと「してやったのに」と思うことはないでしょうか?見返りを期待する気持ちには、必ずといっていいほど「自分」を中心とした執着という面がみられます。言い換えれば「自分」を優先にして、人になにかをしてあげたに過ぎません。
私たちは今一度、道元禅師の「布施」に対するお言葉に立ち返って、人になにかをするときには「自分」に執着した見返りを期待せず、誠心誠意・相手のことを考え、気持ちを込めて人になにかをするよう努めるべきではないでしょうか。

札幌市 薬師寺
小林 良浩

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