「誰かの仕事で出来ている」
「世界は誰かの仕事で出来ている。」とある缶コーヒーの広告に、このような言葉がございました。様々な職業の男たちが缶コーヒーで喉をうるおし、一息ついている。その映像と「世界は誰かの仕事で出来ている」という言葉に共感を覚えた方も多いのではないでしょうか。
毎日額に汗して自分の持ち場を懸命に守っているあなたの姿を、私達はちゃんとわかっていますよ。そんな優しさがあふれるこの広告に「心を打たれた」また「この言葉をかみしめて仕事に励んでいる」というような反響があったそうです。
曹洞宗の大本山永平寺の大庫院(だいくいん)という建物の前には大きな擂り粉木(すりこぎ)が飾られております。雲水がこの擂り粉木を説明するときには
「身を削り 人に尽くさん擂り粉木の その味知れる 人ぞ尊し」
という歌の説明を致します。
擂り粉木に思いを込めて食事を作ってくれる人への感謝を歌ったうたですが「擂り粉木の有難さを分かる人が尊い」と言っているのが大切なところです。食事だけではなく広く「他の人の為に一生懸命に努力している人の苦労を感じ取り、そのことへの感謝の気持ちを持つ。そういう感謝の気持ちを持って日々生きている人は尊い」という事を教えてくれる歌なのです。
世の中を見れば、自分以外の誰が、どんな仕事をしているか、どんな一日を送っているか。わからないことだらけです。しかし、世界は確かに一人一人の人間の行いによって繋がり、形作られているのです。そのことが理解できれば今日という一日が変わるような気がしませんか。
今日も新しい一日が始まります。お仕事の方は今日も一日、がんばって!お休みの方は感謝の気持ちをもって清々しい一日をおすごしください。お目ざめに温かいコーヒーでもいかがですか?
奥村 孝裕