「1メートルの箸」
法話
2015/02/21
2015年02月21日放送
本日は「1メートルの箸」という物語をお話いたします。
我が国には昔から、善いことをすれば、亡くなったあと天国に昇り、悪いことをすれば、地獄に堕ちるという考え方(観念)があります。
ところで、天国でも地獄でも、食事のときは、1メートルもある長い箸を使っています。天国と地獄、どちらも条件は同じですが、なにやら様子が違っているので覗いてみましょう。
まず、地獄での食事が始まりました。長い箸で我先にと食べ物を挟み、自分の口に入れようと、必死に頑張りますが、どうしても思うように食べられず皆、イライラしています。そして、お互いの箸と箸がぶつかり合うことで、とうとうケンカになり、食事どころではなくなってしまいました。地獄の食事は、自分勝手に食べ物を求めることで、争いが絶えず、とても醜いありさまでした。
では、天国での食事を覗いてみましょう。地獄と同じ長い箸を使っているのですが、不思議な事に皆ニコニコしながら楽しそうに食事をしています。天国では長い箸で食べ物を挟み、向かい側の人の口へ運び入れることで、お互いのお腹を満たしていたのです。天国の食事は、共に分かち合い、与え合い、喜びと幸せに満ちていました。
この物語を聞いて、あなたなら1メートルの箸を、どのように使いますか? お釈迦さまは「与えるとき、心が豊かになり、惜しむとき、心が貧しくなる」と、説かれています。 皆さん、自分の行いを反省し、「ありがとう」「おかげさまで」という感謝の心で、充実した毎日を送りましょう。
松前町 法幢寺
木村 清崇
木村 清崇