「お彼岸」
法話
2014/09/13
2014年09月13日放送
私のお寺には大きな柳の木があります。落ち葉掃きをしながらあまりにもよく葉っぱを落とす柳に「それにしてもよく落とすなあ」と声をかけたことがありました。その言葉を気にしてか2年前の大風で真ん中から真っ二つに折れてしまいました。
ある時、頭を剃っているとふと落ち葉掃きを思い出しました。禅宗のお坊さんは頭を剃るとき「皆が欲を離れて仏様のような落ち着いた心に近づけますように」とお唱え言をいたします。頭を剃ること、落ち葉を掃くことは私自身の心の余計な欲を綺麗にしていくことに似ているのです。何かと愚痴を言いたがる私に柳が教えてくれている気がいたしました。
2500年程前の、お釈迦様の言葉にはこうあります。
善く説かれた教えを聞きて 身はその教えにしたがう
このような人々こそ越え難き 死の境を越えて 彼の岸に到らん
みなさんの今日の出会いの中に、人は勿論、目にするもの全てに教えが散りばめられていることでしょう。それに気づくかどうかは自分次第です。そして自分の身体で実行してこそ本当に大切な宝物になるのです。
皆さん、今日という一日が始まります。 昨日の私はもういません。変わること、努力や怠けないことには勇気が必要です。 今日から一週間で秋のお彼岸をお迎えいたします。お彼岸というのはまさしくこの気づきと勇気によって我儘で自己中心的な自分を乗り越えて成長させていく時なのです。
網走市 最乗寺
吉田 英修
吉田 英修