「初心忘るべからず」
法話
2014/04/19
2014年04月19日放送
清新の気風である四月の半ば、皆様はどのようにお過ごしでしょうか?進級や進学、就職による新しい環境になじもうと一層励まれているところでしょうか。 春の四月はだれしもが新しいステップに立つ季節であり、みなさんそれぞれが新鮮な気持ちを持って発心し、新しい物事に取り組まれる時期であります。
しかし、この初心というものはとても肝心なものです。かの道元禅師は「発心正しからざれば万行空しく施す」と、まず最初の踏み出しの第一歩の姿勢を正せとおっしゃいました。自らのやる気・求める心が何に向かって、どう志をおこすかがしっかりしていないと、気持がぶれたり何も得ずただ時間だけが無駄に流れていくものです。
さらに、その発心も一度起こせばよいというものではありません。道元禅師が「一発菩提心を百千万発するなり」とおっしゃいましたように、今日も明日もつねに発心し退転せんとする心を奮い立たせ、横にそれようとする心を軌道修正しながら相続することで初めて道は成就されるのです。
私たちの新鮮な気持ち・発心は、年月が経つほどに勢いは次第に衰え、惰性に流れがちです。しかし、その新鮮な気持ち・初発心をつねに持ち続け、惰性に流れようとする自分の姿勢を立て直し歩み続けることが大切なのであります。
禅の言葉に「三十年来行脚し来たれ」という言葉があります。これは結果を待たず、歩みの一歩一歩に初々しい発心の思いをもって、修あるのみという姿勢で歩き続けよというものです。 皆様も新しい環境に対して臨む初々しい気持ちや心構え・発心を忘れずに毎日の生活を大切にお過ごしください。
札幌市 薬師寺
小林 良浩
小林 良浩