「ご先祖さま」
法話
2013/08/31
2013年08月31日放送
八月も今日で終わり、明日からは九月です。うちのお寺でも秋のお彼岸に向けての準備をしております。以前に法事でお伺いしたお宅で、「うちは分家だから、ご先祖様はみんな本家でみてくれているから楽だよ」とお話している声が聞こえてきました。ご先祖様はみな本家にいるのだから、自分の所の仏様だけをご供養して守っていけばいいという認識なのでしょう。ご先祖様がいなければ今の自分はこの世に存在しないという意識が薄れてしまっているのは悲しいことです。
私たちが法事でお経をお唱えするときに、最後に回向をお唱えいたします。回向とは今お唱えしたお経の功徳を他に回らし向けるということです。その回向の中で戒名を読んだあとに必ず何々家先祖代々とお唱えして、年回を迎えた方だけではなく、その家のご先祖様に対してもお経の功徳を回らし向けるのであります。ですから、分家であったとしてもご先祖様がいない家というのはあり得ないのです。今あるのはご先祖様のお蔭です。感謝の気持ちを忘れずに日ごろから大切にご供養していただき、次の代へ受け継いでいく事が今日まで家系を存続させてこられたご先祖様への報恩の行いにもつながっていくのです。
自分よりも他の人の為に行う行為のことを利他行と申します。利他行を通じて積まれた徳というのはいずれ巡り巡ってご自分のもとへ返ってまいります。お盆にお墓詣りに行けなかった方もお時間を作っていただき、ご先祖様をお参りに行かれてはいかがでしょうか。
遠軽町 陽済寺
佐藤 寿光
佐藤 寿光