「羽衣の松」
法話
2013/04/27
2013年04月27日放送
愛知県豊川市に「羽衣(うい)の松」と言う木が在ります。 この木にまつわるお話で、昔、若者が川淵を歩いていると、松に綺麗な布が掛かっていました。若者は綺麗な布なので大切に仕舞い込んでしまいました。川で体を洗っていた天女は、羽衣が無いので帰る事が出来ず、仕方なく若者の妻となり、やがて一人の子供が生まれました。ある日、天女は引き出しの奥にある羽衣を見つけそれを身にまとうと「私はこの子を残して天に帰ります。子供が病気になった時にはこれを使って下さい。ここに病気の治るお茶と人形を置いていきます」と言って天に昇って行きました。
この話から良く考えると、人との出会いと、結婚はよく考え、軽はずみな事はしない、また無理なことに対しての戒めを物語として伝えていると思います。
子供を置いて後ろ髪を引かれる思いの天女。空に昇っていく天女の姿。自分ではどうする事もできない人の運命の非常さ。愛する妻との別れ。愛しい我が子との別れ。そのどれもこれもがこの話に私は含まれていると思います。
「羽衣の松」それは世の中の無常を悟らせ教えている、全世界に通じる教えだと思います。
札幌市 玉宝寺
牧野 良章
牧野 良章