2012年8月4日放送
法話
2012/08/04
2012年08月04日放送
私には、二歳になる子供がおります。最近沢山のことばを覚え始めました。そしてそのほとんどが、私ども親のマネ、口癖までも真似をします。わが子の成長に目を細めるとともに、親として子供に対する言葉づかいには、大変重い責任を感じております。
道元禅師は、誠心誠意、相手を思いやる、優しい言葉、「愛語」の大切さを説いておられます。 ふだん、自分の発した何気ない一言で、人を傷つけてしまったり、迷惑をかけてしまったり、悲しい思いをさせてしまったり・・・誰にでも思い当たることでしょう。これは愛語を忘れているために起きてしまうのです。道元禅師は「愛語を好み、使うように心がけていると、日ごろ、目に見えない愛語も自然に表れるようになる。私たち人間は、今の命がある限り、好んで愛語すべきである。」とお示しです。
とかく現代では、親が子を、子が親を殺める、そういった事件が多く報道されています。「愛語」を全く使うことのない親の言葉が、親子の会話をなくし、それによって気持ちの擦れ違いが生じて、このような悲惨な事態を引き起こしていると考えられます。 わが子と接するとき、ただ、話をするのではなく、そこに、気配りや、思い遣りと慈愛に満ちた「愛語」を使うように、常に心がけたいものであります。 なぜなら、子供は親の言葉をマネすることから人間としての第一歩を始め、その後ろ姿からさまざまな生き方を学び、それらを心の栄養として成長して往くのですから・・・
釧路市 佛心寺
山辺 龍樹
山辺 龍樹