2012年4月21日放送
法話
2012/04/21
2012年04月21日放送
私たちに、最も馴染み深い仏具のひとつに数珠があります。お葬式や法事といった仏事には、欠かすことのできない装身具となっています。そこから不幸を連想される方もありますが、ことぶきの珠と書いて「寿珠」と読むこともある通り、むしろ縁起の良い、円満と平和のシンボルでさえあります。
最近の若い人のなかには、ファッションの一つとして、幸運を呼び寄せると言われるパワーストーンや誕生石などを使った腕輪念珠を身に付けている方も見かけるようになりました。しかし、数珠はたんなる飾りではなく、その姿・形には仏様の教えが込められていることを忘れてはならないのです。
数珠の円い珠と形は、仏様の知恵と、み姿を象徴しています。また、それは私たち一人一人の姿をもあらわしています。個々の珠はどれも丸く、しかも一本のひもにつながり、さらに大きな円を成しています。これは人と人との絆が円満であることを祈る形です。家族に例えるならば、一人一人が揃って円満で丈夫で、しかも誰一人横道にそれることなく強い絆で結ばれ、そしてその関係が無限に続きますようにと、願い祈ることをあらわしているのです。
私自身も数珠を手にするとき、自分の行いや気持ちが仏様の教えに反していないかよくよくかえりみるとともに、清らかに、また円満に生きてゆく努力を誓って、数珠の意義を心得ながら、大いに愛用していきたいと思うものであります。
新篠津村 光明寺
藤原 孝徳
藤原 孝徳