2012年1月7日放送
法話
2012/01/07
2012年01月07日放送
昨年は、東日本大震災をはじめ、国内外で地震・水害等が続きました。被災された皆々様に、心からお見舞いを申し上げ、新しい年が復興の喜びに満ちたものになることを、心からお祈り申し上げるものであります。
さて、今年は辰年です。水を司る龍神さまの年です。永平寺の道元禅師は『海中に龍門という処があり、大波がゴウゴウと音を響かせている。その大波を魚が通り抜けると、龍に変わる。海中には特別な違いはない。魚のウロコも体もそのままであるが、必ず龍になるのだ。』と、示されました。
この言葉に続いて、お坊さんは、修行道場で互いに切磋琢磨して、仏さまとしての行を積むと、その身そのままに仏様になるのだ、と諭されています。道元禅師の言うところは、僧侶が修行道場に身を置くことの大切さを示されているわけです。さらに言い換えれば、厳しく辛い処に身を置き、ひたすら精進してゆくことが、自分自身を大きく成長させることになるのだ、ということなのです。
年があけた新年にもかかわらず、辛く苦しい思いをしながら、精進の日々を重ねている皆さんも、今年は龍門の魚のように、自然に龍に変化し、それこそ昇り龍のごとき、幸運に恵まれることを祈念するものであります。
世の中はこころ一つの置きどころ。楽も苦となり、苦も楽となる。
曹洞宗北海道教化センター
統監 藤原 重孝
統監 藤原 重孝