2011年7月23日放送
法話
2011/07/23
2011年07月23日放送
私達は、喜怒哀楽などの自分の感情や思いを誰かに分かって欲しいと思います。そして言葉を用いて自分の意志を相手に伝え、その心のうちを理解します。お互いに認識を共有することで人間社会が営まれています。言葉は人と人との交流に重要な役割をもちます。
「あの時あの人にかけてもらった一言に救われた」「生涯忘れられない言葉」もある一方「あの人にあんなことを言われた」ということも誰にでもあるはずです。それだけに言葉の使い方如何によっては毒にもなり、薬にもなってしまうのです。よくよく注意して使いたいものです。それ故、私達・仏教徒が実践すべき徳目、愛語が大切になってきます。
母親は幼い子を穏やかな優しい眼差しで見守ります。「愛語」というのは、そんな母親の気持ちになって心から人を思いやる、温かい言葉をかけることです。悩み、悲しむ人を力付け、その人が笑顔になると自分もうれしくなります。慈愛の言葉、まごころの言葉が、その人の一生を良い方向に導くこともあります。また、その人を思って叱る言葉、厳しく言う言葉も「愛語」です。表面的な優しい言葉ではなく、本当に相手のためになる言葉をいいます。
多くのものに支えられ、生かされている自分。人と人との絆はかけがいのないものです。このことに気づき、「愛語」を実践することでお互いに生きる喜びとまごころの絆を深めていきましょう。
美唄市 東光寺
東松 道仁
東松 道仁