2011年6月18日放送
法話
2011/06/18
2011年06月18日放送
いのちって何だろう。幸せって何だろう。 東日本大震災は私達に、あらためていのちを、私達の生きることの意味を問い直す契機となりました。 今まで信じてきたあらゆるもの・・・いや自分が勝手に信じたがっていた総てのものを根底から覆してしまったのです。
「恵の海」は地震と津波とによって人々のいのちと、幸せな暮らしそのものを奪い去る「恐れの海」となり、原発事故は、豊かな生活の基盤となるエネルギーを失わせるだけではなく、「目に見えぬ放射線」という底知れぬ不安を与え続けるものとなりました。
畏れ敬う心、「畏敬」とは人の力を超えた大自然に、人としての慎みをもって敬い大切にする心。自らのおごりをこそ恐れよとの「戒め」なのです。 大自然との共生の中に、今日一日の平穏を祈り、工夫と努力惜しむことなく勤め、無事を心から喜んで感謝する。 今日出会えたことが嬉しい、出来ることが楽しい。今日の幸せと喜びを共に分かち合いたい。
おごり、見下し、我が侭、その時々の都合勝手は自らの人間性を貶めることに他ならず、我も又、大自然に生かされている身なのだと慎み励み勤めてこそ、互いに人と人、人と大自然との絆を確かめ合う、眞に人間性を取り戻した姿となることでありましょう。 いのちって何だろう、幸せって何だろう。今回の大震災は私達に今、許されて生きることの意味、いのちの意味を根本から問い直すこととなったのです。
せたな町 延命寺
松崎 清智
松崎 清智