2011年6月4日放送
私は、50歳まで特別養護老人ホームに勤務し、「生老病死」の「四苦」を目の当たりにしながら、役目を果たしていました。 「死ぬこと」を意識せざるを得ない状況にいるお年寄りのお世話をし、200人余りの方の最後を看取りました。多くの方は、老いて、病を患う、自分の心身の現状を認識し、そのことを受け入れて、納得して生活していました。
さまざまな人生の感想を聞きました。「苦労したから幸せだった」「仕事の後にみんなで飲んだ酒はうまかった」「これで良しということはない」などなど。 究極の幸せは、お金や物でなく、ひとに「愛されること」「ほめられること」「役に立つこと」「必要とされること」だそうです。 出会った方々は、そのために『嫌われないように』『怒られないように』『邪魔にならないように』『健康でいるように』そうやって生きてきたからこそ、満足感・達成感を得て、おだやかに「死」を迎えられるようです。
ひとつのことにとらわれず、自分の知識だけが真実と思い込まず、みんなと呼吸を合わせて、十分に力を発揮して、苦労して困難を乗り切ることが「幸せ」となるようです。「楽する」ことは「幸せ」ではありません。 これらのことを、20年余りの勤務のなかで、実習させていただきました。 ただ、これらの「幸せに生きる」方法は、仏教そのものであり、お釈迦様が教えてくださったことです。
仏教を知ることは、「幸せな人生」をおくる、道しるべになります。 お坊さんは、お釈迦様の説いた「幸せに生きる」方法を学んでいます。 お坊さんと話をすることで、「心の荷物」が軽くなるかもしれません。 まずは、お寺の行事に参加して、お話してみませんか。
久保田 粹穂