2011年1月22日放送
法話
2011/01/22
2011年01月22日放送
昨年の二月、定年直後のご主人を亡くされたお檀家様の奥様がおられます。
中陰のお参りに伺った時、祭壇の横で呆然としていました。 「定年し、これから旅行に行こうと言っていたのに、悔しくて悔しくてどうにもならない」との事でした。毎週お参りに行くと、その都度、寂しくて、悔しくて何をする気にもなれないと嘆く奥様です。
ある日、ご本山 永平寺の修行僧のことをお話しました。「ご開山様をお守りしている霊廟では、お仕えしている雲水さんが今でも毎日お経を上げて、朝をお知らせします。今ここに居られるがごとくに、ご木像に洗顔し、お食事を差し上げる事を続けているのです。今のように毎日外にも出ないで、ご飯も作れない生活を続けていたらお父さんに怒られますよ。お父さんの好きだった料理を作ってあげたり、お水を替えたり、話しかけたり、今ここに居られるが如くにお世話をしてあげたらいいよ」と伝えました。
四十九日法要の日、奥様のお顔に表情が戻っていたのを見た時、ホッと安心いたしました。同居しているご長男も元気にもどってきたお母さんをみて喜んでおられました。
大切な方を亡くされた時、つらく悲しい気持ちになりますが、私たちは合掌の中で、ご先祖様、仏様と日々の生活の中で共に仲良く暮らして行きたいものです。
美唄市 大安寺
東松 弘敏
東松 弘敏