2010年11月6日放送
法話
2010/11/06
2010年11月06日放送
外国を旅行して食事をする時に、高級レストランや一流の料理店に入ると、テーブルに灰皿が置かれておりません。日本人がタバコを吸おうと思い、灰皿がないので店員に頼む。すると店員は「喫煙はできません、食事がすんでから、どうか他の所でなさってください。」と言われます。これはなにも嫌煙権運動やエチケットの為ではありません。なぜ喫煙してはいけないのか。その理由は料理がまずくなるからです。
料理人は最高の条件で料理を味わってもらおうと、一所懸命に腕をふるって料理を作ります。それをタバコで舌や喉を変に刺激するとせっかくの料理が台無しになります。食事の時の喫煙は本来してはならないのです。
大本山総持寺の御開山、螢山禅師様のお言葉に「茶に逢うては茶を喫し、飯に逢うては飯を喫す」とあります。「お茶を飲む時はひたすらお茶を飲みなさい。ご飯を食べる時はただご飯だけ食べなさい」という意味です。お茶やご飯が出されたら、おいしくいただく。なんだ、あたり前のことではないかと言われそうですが、螢山禅師様はそのあたり前のことが大切であると教えておられます。
でも私達はそのあたり前のことがなかなか出来ません。ご飯を食べながら、あれこれくだらない事を考えたり、新聞を読みながら、テレビを見ながら食事をしています。あたり前の事、平凡な事をちゃんとやる事がとても大切なのです。まずテレビを消して新聞を読まずに食事をする事から始めましょう。
函館市 道了寺
武山 昌孝
武山 昌孝