2010年7月10日放送
法話
2010/07/10
2010年07月10日放送
七月、八月はお盆の季節です。
明治時代に、日本に帰化した、ラフカディオハーン、小泉八雲は、
「亡き人の、御霊(みたま)の前に、夜毎(よごと)にともされる、小さな灯明(ともしび)。食べ物やお茶などをあげる、ささやかな供えもの。仏迎えのお盆の迎え火。亡き御霊を、再び安らぎの、黄泉(よみ)の国へ送り返すために、用意される精霊船(しょうりょうぶね)よ。こういう古い家庭宗教に、無信仰な人間にも、何という詩的な情緒が感じられることだろう。」
と書き残しています。
あたかも亡き人々がそこに存在し、生きている私達と交流している姿を、感動をもって讃(たた)えている文章です。
「まざまざと、いますがごとし、魂(たま)まつり」
亡き人々がわずか数日の間、この世に戻り、いろいろなおもてなしをうけて、再びあの世に帰ってゆくという、お盆の行事は、送り火や迎え火、お盆の「お墓まいり」や「お寺の法要」、「灯篭流し」や「精霊流し」、「大文字」や「盆踊り」など、いろいろな形で全国各地で続けられています。
このお盆の季節に、私達の身体の中に「はるかなる過去」から脈々とうけつがれている「大切な命」。「その命の尊さ」と「大切さ」をあらためて、深く感じてほしいのです。
人の命が軽く扱われている、昨今。「お盆の行事」の奥にある深い意味をさらによく味わってみて下さい。
松前町 法幢寺
木村 清韶
木村 清韶